掃引正弦波を用いたインパルス応答測定時に発生する非線形誤差の検討

摘要

インパルス応答は音響系の周波数特性や残響時間などを求める際に使用される重要な特性量である．インパルス応答測定においてはSN比を向上させるために大音圧での測定が行われるが、その際、非線形歪が発生する．インパルス応答測定信号として掃引正弦波を使用した場合、非線形誤差として倍周波数の高調波盃が発生する．しかし、それに加えて原因不明の誤差成分が発生する場合がある．本報告では、この誤差成分の原因について検討した結果、DA変換時に使用されるLPFによる逆折り返し成分、および、使用機器により混入した微弱な電源雑音が、これらと掃引正弦波との混変調歪によって発生する誤差成分であることを確認した．この検討結果に基づいて、発生する誤差の対策を行い、実測によって有効性を検証した．