粒子線がん治療施設－現況と普及への体制づくり

摘要

レントゲンが1895年にX線を発見し、数ヵ月後には米国、ドイツ、フランスで、いまだその性質が明確に解明されていない時期にもかかわらず、この不思議な放射線を利用した治療が行われた。 悪性腫瘍をなんとか治したいという医者の強い願望の表れでもあった。 以来、放射線治療は既に100年以上の歴史を有している。 欧米ではがん患者の約半数が何らかの放射線治療を受けている。 これに対し、日本では外科的手術および抗がん剤投与による内科的治療が依然支配的であり、毎年の新患がん患者数50万人に対する放射線治療の普及率はここ数年でかなり増加したとはいえ、30％にとどまっている。