小型·低電圧駆動RF-MEMSスイッチ

摘要

本論文では，RFトランシーバのアンテナや送受信回路切換用スイッチとして，RF-MEMSスイッチを取り上げ，実用化に必須な駆動電圧の低減，小型化及び高速化の検討を行った．これらの克服すべき技術課題を解決するため，静電引力が電極面積に比例し，電極間隔の自乗に反比例する特性を利用した駆動方式を導入した．平面状に複数の駆動電極を設置，小型化した板ばねで隣接する電極間を連結した構造の中部電極層と，段差を設けた上部電極層と底部電極層の3層からなるRF-MEMSスイッチ構造を提案し，三次元解析シミュレータSUGARを用いて，このスイッチの動作解析を行った．その結果，RF-MEMSスイッチの寸法が長さ340 μm，幅210 μmで駆動電圧1.2 V，応答時間58 μsで動作することを確認した．また，これらの結果から報告されているRF-MEMSスイッチに比べて約1/4の低電圧化，1/10の小型化並びに2.9倍の高速化が可能であることを明らかにした．