低演算量カオスNOMA-SIC復号手法の上りリンクへの適用検討

摘要

第5世代移動通信システム（5G）において，より大容量かつ高速な通信を行う手法の一つとして非直交多元接続手法（non-orthogonal multiple access: NOMA）が検討されている．我々はその手法の一つとして，カオスNOMA（C-NOMA）伝送手法を提案している．この伝送方式は，カオスMIMO （multiple-input multiple-output）伝送の原理をNOMA伝送の変調部に適用することでNOMA伝送の伝送効率向上と，C-MIMO伝送の物理層秘匿性と符号化利得を同時に獲得することができる手法であるが，復号演算量が莫大となることが課題であった．そこで，我々はSIC （successive interference cancelation）を適用することで，C-NOMA伝送の復号演算量の削減を行う手法を提案した．しかし，これまでの検討では，下りリンクにおける特性のみに着目しており，上りリンクにおける性能はまだ明らかにされていない．そこで本稿では，上りリンクにおけるSIC適用時のC-NOMA伝送の伝送特性をBER（bit error rate）特性を用いて計算機シミュレーションにより明らかにし，既存手法に対する優位性を示す．