60GHz帯屋内高速無線LAN用誘電体装荷セクタアレー

摘要

非圧縮HDTVデータ等のギガビット級の大容量データの高速無線通信実現のため，60GHz帯の無線通信には大きな期待が寄せられている．60GHz帯の屋内無線LANによってこのような高速通信を行う場合，良好な伝送品位と広い通信場所率を得るため，基地局及び端末局用アンテナは高い利得と広い指向性特性の二つの相反する要求を満足する必要がある．そこで筆者らは，単体で高利得特性を有する誘電体装荷アンテナに対してセクタ指向性成形を行い，セクタアレーを構成することによってこの困難の克服を試みた．偏波面及びチルト角の制御により，基地局及び端末局双方のアンテナを提案した．まず，提案アンテナに部屋形状に適した指向性成形を施した．次にセクタアレーの三次元指向性を測定することによって，全立体角に対する放射特性を把握し，実際の部屋にアンテナを設置したときの通信場所率を計算した．以上の結果により，提案したアンテナは，1Gbit／s伝送時の通信場所率評価において，6mx6mの比較的広い部屋で，90％の広い場所率が得られる見通しを得た．