移動体衛星通信用静止衛星の都市内しゃへい特性：GPS衛星を用いたSat．D特性推定法と測定結果

摘要

本論文は，GPS衛星を用いて，移動体衛星通信用静止衛星からの信号の都市内しゃへい特性，Sat. D特性を推定する方法を明らかにしている．静止衛星軌道（GSO）上の衛星を用いたモバイル放送システムなどの設計にあたって，都市内で建物，電柱，樹木などのしゃへい特性を明らかにする必要がある．今回の実験では，N-STARなどの静止衛星からの信号を直接使用するのではなく，仰角40～50度の南方のGPS衛星の信号を用いて伝搬特性を測定している．この新しい測定法は，低コストな測定装置と少ない運用経費で各種のデータ（例えば，衛星位置，受信レベル，受信機の位置情報など）が1秒ごとに収集することができる．測定の結果，都市内では東西の道路で厳しい減衰が生じ，何らかの減衰対策が必要であることを明らかにした．更に，この減衰を補償するために，サテライトダイバーシチ（Sat．D）特性を測定し，2衛星の軌道間隔が45度程度以上あれば，ほぼ90％の衛星見通し率が得られることを明らかにした．