パーティションに用いる無線LAN用電波吸収体に関する基礎的検討

摘要

現在,携帯電話,無線LANを含む無線通信機器の普及により,多くのシステムで無線技術が使われるようになった.しかし,室内無線LANの利用の際,壁や窓ガラス,天井などにおいて,電波が乱反射することにより,通信機器に誤作動を起こす問題が指摘されている.そのため,このような不要散乱波の影響を抑制する目的で,電波吸収体を設置することが検討され,実用化されている.さらに,これらの問題は室内の壁や窓ガラスにとどまらず,オフィス等で用いられるパーティションにおいても重要であり,電波が乱反射し,影響を及ぼす恐れがある.そこで,本研究ではパーティションに電波吸収機能を付加けることで無線LANで使用される周波数帯域に対応したパーティションタィプ電波吸収体を理論的かつ実験的に検討した.その結果,2.45 GHz, 5.2 GHzにおいて,垂直入射時で約20 dB 以上,TETM両偏波および円偏波において入射角度が5度から20度まで,約15dB以上の吸収量が得られることを実験的に確認した.