綿クレープ織物中の強撚糸が作るらせん数の解析

摘要

本報では，綿クレープ中の強撚糸の3次元変形をらせん変形と仮定してhelixの力学的釣り合のモデルから，らせん数を求める予測式を算出した．らせん数の予測式には，しぼ発生時である熱湯中でのよこ糸の解撚トルクの数値が必要となる．しかし，熱湯中での糸の解撚トルクの測定は非常に困難であり，従来は加撚時のトルクで置き換えているのが現状である．そこで，我々は実験から加撚トルクと解撚トルクの両方を測定し，トルクの違いがらせん数におよぼす影響について検討を行った．また，石倉ら6は綿クレープ織物のよこ糸に双糸からなる強撚糸を用いて，S撚とZ撚を何本か交互に配列し，その時のよこ糸の撚数がらせん数に及ぼす影響について解析を行っている．しかし，一般的な綿クレープ織物とは，Z撚の単糸の原糸をさらにZ方向に追撚した強撚糸のみを配列した織物であり，本来の綿クレープの糸構造と異なっている．そのため，一般的なクレープ設計するための基本的なデータが得られていない．そこで，我々はよこ糸にZ撚の単糸からなる強撚糸のみを配列した織物を試作し，その時のよこ糸の撚数と密度の変化がらせん数に与える影響について検討した．