キャピラリーゲル電気泳動によるリガーゼ検出反応生成物の分析

摘要

ras遺伝子はそのままでは発癌活性を持たないが，これらの遺伝子に変異が生じると発癌活性を有し，該変異を有する細胞が形質転換されることが知られている．ras遺伝子群(H-ras, K-ras, N-ras, R-ras)を構成するK-ras遺伝子の活性化型変異体（K-ras癌遺伝子）は，ヒトの癌において最も多く見いだされる癌遺伝子の一つであり，これらの癌では，K-ras癌遺伝子からの変異型K-rasタンパク質の持続的な発現，生成が細胞の癌化および癌細胞としての形質維持に必要不可欠であることが明らかとなっている．例えば，K-ras遺伝学のエキソン1，コドン12 (GGT)における塩基は，GAT，GCT，GTTへと一塩基置換される場合があり，それぞれアミノ酸残基Asp，Ala，Valへと翻訳される．これらのアミノ酸は，GTP結合において重要な役割を果たしており，このコドンにおける点突然変異は，GTPの加水分解を抑制し，恒常的に活性シグナリング機能を有する癌遺伝子p21 rasタンパク質を生成する．大腸癌においては，すべての大腸癌患者の約30-50％において癌発達の初期段階にK-ras遺伝子に点突然変異を持つことが知られている．それゆえK-ras遺伝子における突然変異の有無に関する情報を得ることは，癌疾病の管理に有用である．