電子スピン分極プローブ法による凝縮相での励起消光過程の研究

摘要

凝縮相でのラジカルによる電子励起状態消光過程では，反応やエネルギー移動のような光化学でよく知られた過程の他に，不対電子が誘発する項間交差すなわちEnhanced ISC（EISC）と呼ばれる過程の存在が指摘され，興味を集めていた．三重項から二重項（ラジカル）へのエネルギー移動も，一見スピン禁制に見えるため，詳しく理解しようという試みが多くなされた．EISCについては，1980年代までに速度論的な研究からその存在がほぼ立証されている．励起分子うジカル間のポテンシャルをもとに，消光に関する理論的な研究もなされ磁場効果なども考察されている．