遺伝的プログラミングを用いたネットワークサービス処理時間のモデル化

摘要

本稿では，ブラックボックスモデリングの一種である遺伝的プログラミングにより，ネットワークサービスの処理時間のダイナミクスをどの程度正確にモデル化できるかを実験により調査する．ネットワークサービスは，通常，計算機（サーバおよびクライアント）や，ストレージ，ルータ，リンクなど，複数の要素によって構成されるシステム上で提供される．計算機およびネットワークの仮想化技術の普及により，システムを構成する個々の要素を正確にモデル化し，これらを結合することでシステム全体のモデルを構築すること（ホワイトボックスモデリング）がより困難になりつつある．一方，ハードウェアおよびソフトウェアの処理速度の向上や，ストレージの低価格化により，サーバもしくはネットワークエッジにおいて大量のログ情報が収集されつつある．そこで本稿では，サーバおよびネットワークエッジにおいて収集されている大量のログ情報を用いて，ネットワークサービスの特性がどの程度正確にモデル化できるかを調査する．トラヒック量の割合やログの計測期間，遺伝的プログラミングのパラメータをさまざまに変化させた時のモデルの適合度を分析することで，遺伝的プログラミングを用いたネットワークサービス処理時間のモデル化の実現可能性を検証する．