スマートアンテナを用いた2種アクセス併用指向性メディアアクセス制御プロトコル

摘要

従来無線アドホックネットワークのメディアアクセス制御（MAC）プロトコルにおいては無指向性アンテナを利用することを前提としてきた．これに対し，電子的にビーム形状を制御できるスマートアンテナは，空間分割等による性能向上が期待できる．本論文では，空間分割多重によるネットワーク容量の増加と特定方向への送信電力集中による通信エリアの拡張を提供可能な，アドホックネットワークMACプロトコルSWAMPを提案する．SWAMPはIEEE802.11DCFをベースとし次の特徴をもつ．（1）2種類のアクセスモードをもちあて先ノードの位置に応じて両者を選択して使用する，（2）RTS，CTSフレームの拡張と新たに追加するSOFフレームにより，MACプロトコル内で近隣端末位置情報の取得を可能とする．（3）高利得指向性ビームを用いて，無指向性アンテナの使用に比べて通信エリアを拡張する．（4）従来のNAVに比べて短縮されたomni-NAVにより，空間利用効率が改善する．ノードの移動，ノード密度，ネットワークトポロジー等の条件を変えたシミュレーションを実行し，提案プロトコルが無指向性アンテナを利用した従来のプロトコルに比べてスループット性能を改善することを確認した．特に，ノードがランダムに移動する環境下において，提案プロトコルは300％のネットワーク容量を向上させた．また，指向性アンテナを利用した関連プロトコルとの比較により提案方式の適用領域を示した．