手話知覚と画面大きさの関係に関する一検討

摘要

現在，情報通信技術の発展により携帯型テレビ電話が利用可能となっている。 これはモバイル型の映像通信を可能とし，ろう者の手話コミュニケーション手段として期待されている。 ところが，モバイル機器の画面の大きさは2インチ程度に制約されており，その利用のためには制約のある画面大きさにおける手話知覚特性の検討が必要であると考える。 本検討では，手話知覚と画面大きさとの関連の検討を目的として，大きさを1インチから6インチに変化させた手話映像に対する手話知覚，評価を検討する。 ろう者を評定者とした知覚実験の結果から，手話知覚特性（手話映像の内容の理解度，見易さの嗜好度）が3インチ以下の画面大きさで有意に劣化する事を示す。 この結果は，ことばとしての手話知覚，理解において画面の大きさが重要な役割を果たしていることを示していると考えられ，また，手話コミュニケーションヘの応用に適した携帯型テレビ電話の設計に寄与するものと考える。