アルキメデスからの赠り物Schochのアルキメデスの円

摘要

この連載では，アルベロスに関する話題を取り上げている．アロベロスとは，線分AB上の1点をOとするとき，OA，OB，ABを直径とする円によって囲まれる領域（図1斜線部）をいう．Oを通るABの垂線でアルベロスを分割するとき，分割された2っの領域の内接円は合同であり，アルキメデスの双子の円とよばれた．(A，OB，ABを直径とする円をそれぞれα，β，γとする．前2回ではアルベロスの定義を拡張し，円γがAB以外の点で円αとβに接するような場合を考えても種々の双子の円が存在することを示した．今回からはアルベロスを変形せず，図1のような本来のアルベロスについて考え，アルキメデスの双子の円と合同な円に焦点を絞って考える．アルキメデスの双子の円と合同な円はアルキメデスの円とよばれる．Thomas SchochはAが中心でOを通る円，Bが中心でOを通る円，γの3つの円が作る弧状三角形の内接円はアルキメデスの円であることを発見した（図2）（今回はこの円の一般化について考える．