東行き太平洋経路における飛行計画時調整法の提案

摘要

代表的な東行き太平洋経路について，航空交通流管理の観点から，飛行計画時調整法を提案する．この方法は米国が同西行き経路で行っている調整方法と異なり，遠距離の空港からの通過機を含めた調整方法である．提案方法について計算機シミュレーションを行った．その結果，本論文で提案した方法は，交通密度が高いとき，特に，飛行高度として34,000 ft未満を希望する航空機の割合が大きいときに効果があることを示す．洋上経路ではレーダ覆域内に比べて，広い管制間隔が要求される．我が国を通って洋上航空路へ飛行する航空機に対しては東京航空交通管制部が管制間隔を確保しているが，航空交通流管理は行われていない．管制間隔の確保のため，航空機が希望する飛行高度を変更したり，出発時刻を遅らせることがある．しかし，遅延や経済性の悪い高度といった不利益は我が国からの出発機に集中しがちである．アジアと北米?ハワイを結ぶ経路は毎日の気象予報をもとに設定される可変経路である．日によって経路構成が異なるのでダイヤ上での交通流の調整は難しい．米国では既に同経路の西行き経路に，トラックアドバイザリを導入している．これは飛行計画時にスロットと呼ばれるゲートウェイの通過時刻と高度を割り当てるもので，出発制御が可能な西海岸からの出発機を対象としている．我が国でトラックアドバイザリと同様のことを行うには，アジア諸国からの通過機をも対象とする必要があり，米国と同様の手法では適用できない．