近接する多点接地を有する導体への電磁誘導と人体安全性評価

摘要

商用周波数の電磁界に対する人体防護ガイドラインでは，電磁界ばく露の「直接影響」として，誘導により体内に生じる電界の限度値（基本制限）が示されている。これに加え，「間接影響」として，電磁界中に置かれた物体への誘導により電位を持った物体へ，これと異なる電位を持つ人体が接触することによる，感電（痛みを伴う電撃）を回避することも防護すべき対象として扱われ，接触電流（contact current）の限度値（参考レベル）が示されている。この間接影響の検討においては，電気安全（感電）の分野における古くからの知見，すなわち，人体の通過電流の継続時間と許容値の関係に基づく，感電保護の考え方との整合を考慮した検討が必要となっている。