ハードコンシャス記述：ハードウェア化を目的としたC言語記述スタイル

摘要

組み込み機器の多機能化，複雑化に伴い，C言語ベースのハードウェア設計が広範囲に用いられるようになった．C言語ベースのハードウェア設計では，既存のC言語で記述された豊富なアルゴリズムをいかに再利用するかが，設計期間の短縮および生産性向上のための鍵である．ところが，C言語特有の自由度の高い記述や，ソフトウェア的な技法によって，既存のアルゴリズムやプログラムを直接にハードウェア記述用C言語に移植することが困難となっている．本研究では，ハードウェア化が容易なプログラミング作法，ハードコンシャス記述スタイルを提案する．まず，MiBenchからいくつかのアプリケーションをハードコンシャス記述に書き直し，その記述からHandel-CとBach-Cなどのハードウェア記述用C言語に変換した．次に，ハードコンシャス記述に書き換えるための変更点を分類し，記述の変更に要する作業時間を評価した．評価結果から，ハードコンシャス記述は，アルゴリズム設計とハードウェア設計の架け橋として利用でき，設計時間を短縮できる可能性があることを示した．