人体の影響を含めたUWB伝送特性評価のための設計パラメータの検討

摘要

UWBは送受信間がごく近距離で見通し環境の場合に超高速伝送を達成できるため，遠方の散乱体より近傍に配置された人体など損失性媒質の影響を考慮して伝送特性を評価する必要がある．しかしながら，FDTD法などの電磁界解析手法に送受信アンテナ系および人体モデル全体を含めて解析することは困難であるため，アンテナと伝播を切り離して考察できるUWB伝送路モデルの構築が必須である．また様々なUWBアンテナを対象にして実験·解析を行う際に，両者を連携させて実用的かつ簡易に伝送特性を評価することができれば，具体的なUWB回線設計のための設計パラメータを算出することができると思われる．そこで，本論文では，人体の影響を含めたUWB伝送特性評価を行うため，従来の2パスモデルに人体腹部からの反射を含めた伝送パスを追加し，その有効性について計算及び実験的検討を通して報告する．その際，重要な設計パラメータとなる人体手部のモデル化，および，人体腹部のモデル化の測定·計算誤差要因について，時間·周波数領域において検討し，個々のUWB変調方式に応じた回線設計指針を与えることを目的としている．