コグニティブ無線環境下における非同期OFDMシステムの空き帯域利用に関する一検討

摘要

近年，周波数枯渇問題を解決する有力な技術として，コグニティブ無線技術が注目されている．一方，現行の第3世代システムと比較して，マルチパス干渉に強く周波数利用効率の優れた直交周波数分割多重(OFDM)変調が，様々な無線通信システムに取り入れられている．そのため，コグニティブ無線においても，OFDM変調を用いたシステムとの効率的な周波数共用技術が求められている．OFDM変調を用いたコグニティブ無線の特徴として，既存システム（プライマリシステム）と，二次利用システム（セカンダリシステム）が同期環境を構築できれば，隣接チャネル干渉を回避するためのガードバンドを用いることなく，セカンダリシステムの信号を重畳することが可能である．しかし，周波数チャネルの異なる2つのプライマリシステム間は非同期であるため，異なるタイミングで到来する2つの信号に対して，同時にタイミングを確保できる方法が必要になる．本稿では，2つのプライマリシステム間にセカンダリシステムを挿入する際に，2つのプライマリシステムに，同時にタイミングを確保するためのセカンダリシステムの挿入方法を提案する．提案法により，システム間にガードバンドを設置することなく，プライマリシステムへの与干渉を許容値以下に達成できる．それゆえ，高効率周波数利用が可能となる．さらに，部分帯域間の直交性の崩れに起因するキャリア間干渉は，セカンダリシステムにおける干渉キャンセラ技術により除去する．これにより，セカンダリシステムでは高い通信品質を確保できる．提案法の有効性を計算機シミュレーションにより評価する．