粒子線－次世代がん治療への期待－最先端がん治療の創出－群馬大学の21世紀COEプログラム

摘要

群馬大学医学系研究科の「加速器テクノロジーによる医学·生物学研究」プロジェクトは、平成16年度の21世紀Center of Excellence (COE)プログラムの「革新的な学術分野の開拓を目指す研究教育拠点形成」に採択された。 このプロジェクトは群馬大学と連携大学院を構成している日本原子力研究開発機構·高崎量子応用研究所（以下、原子力機構·高崎）の最先端加速器技術を医学·生物学分野に利用する研究であり、その目的は、原子力機構·高崎の加速器イオンビームの研究チームと群馬大学大学院医学系研究科の医学·生物学研究チームが一体化することにより、最先端のイオンマイクロビーム技術を活用して、基礎医学·生物学研究や、がん治療などの臨床医学の研究を行うことである。 また、この研究活動を通して、これらの研究を担う若手研究者を組織的に育成することにある。 原子力機構·高崎には、1個の重イオン（He、Ne、Cなど）で生きた単一細胞内の微小領域を正確に狙い撃つことのできる重イオンマイクロビーム照射装置、および大気中で1μmの空間分解能で1個の細胞内の多くの元素の分布動態を正確に測定できる大気マイクロPIXE (Particle-Induced X-ray Emission)分析装置がある。 これらはいずれも世界唯一の先進的実験装置であり、さらに新種の放射線核種を製造するサイクロトロン技術がある。 これらの革新的技術を駆使して、イオン照射による細胞死の誘発機構の解析、細胞遺伝子·ウイルス遺伝子への分子生物学的影響の解析、細胞内微量元素の動態解明などの基礎医学研究や、それらのがん治療や画像医学などへの応用に関する臨床医学研究を行う。 これらについて、研究の内容を説明する。