シミュレーションと実測データによるVoIP品質に関する考察

摘要

2009年3月末には，日本国内におけるIP電話サーゼス利用者は2000万人を超えており，前年度同期と比較して，約15％増加している．無線LANを用いたIP電話サービスは，収容端末の増加によりネットワークが輻輳し，それによって引き起こされるパケットロス，パケット遅延，遅延ゆらぎは音声品質を劣化させる．音声通信において，パケットサイズを変化させ送信することは，パケットロス率，パケット遅延時間に大きな影響を与える．一般的には，パケットサイズを小さくすると，パケットロス率が大きくなり，遅延時間が小さくなる．また，パケットサイズを大きくすると，その逆の効果が現れる．しかしながら，シミュレーションによって詳細を確認した．ところ，上記の傾向はネットワークの輻輳状態によって変わることが明らかになった．これによって，無線環境において，最適なパケットサイズで音声通信を行うことで，高品質な音声通信が可能であることを示す．