ウェブアクセシビリティの規格JIS X 8341-3:2010に配慮してウェブデザインを行えば,様々な特性を持つユーザに対応することが容易になる.達成基準を満たす実装方法は多数であるが,それらに対して,一度に対応することは難しい.最終的にはすべての実装方法の項目への対応が求められるが,どの項目を優先的に対応すべきかを視覚障がい者の視点で調べることにした.JISの内容に詳しい4名の全盲の視覚陣がい者に,普段のウェブ利用の経験を踏まえ,各項目の必要度を回答してもらった.その結果,4名の回答が一致した項目は全体の56.7%であった.データの欠如など致命的な問題に対しても使用方法を工夫して克服したり,アクセシビリティの観点からは比較的小さな問題でも,配慮が必要だと考えていることがわかった.この違いは,アクセシブルでないウェブサイトの利用経験から形成された戦略をユーザが使っているためだと考えられる.
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