薄型試料の比透磁率及び導電率推定システムの開発

摘要

本論文では製作したシールドボックスを用いてシールド効果SEを測定し，比透磁率及び導電率を同時に推定するシステムを開発する．本手法ではSEの測定結果と理論値を近似させることにより，比透磁率及び導電率の推定を行うものである．シールドボックス中の薄板を含む空間を多層に分割し，境界条件を適用して各層の電磁界をSommerfeld積分で表し，SEの理論値を導出した．各層の電気定数（ε，μ，σ）は逆問題として推定する．これまでの研究では高導電性材料の推定のみが可能であり，磁性材料の推定は困難であったが，電気定数の周波数依存性を考慮することにより，高導電性材料のみならず磁性材科の電気定数の推定も可能とした．そこで，実際に市販されている電磁シールド材の比透磁率及び導電率の推定を行った．電磁シールド材は繊維単位で見ると凹凸となっているため，本手法のような非接触式手法を用いることにより，材料の等価的な電気定数を推定することが可能となる．また，この推定法はワークステーション等の大型な計算機で数値解析を行わずに，パソコンへの実装を試みることにより実用に即した安価なシステムの構築を可能とした．