昭和戦前期に展開した建篵気候詏計理論とそれに基づく住宅デザイン昭和元年から16年発刊の詏計計画関遙単行本に見られる室内環境調節法#12539;評価法の分析

摘要

大正末期から昭和初期において、人体の体感を考慮し室内を快適状態にする住宅設計が試みられ、藤井厚二は『日本の住宅』（昭和3年）において、海外の知見の紹介と共に、その住宅計画手法を紹介した。大正12年に創刊された雑誌『国民衛生』においても、昭和6年以降、室内気候や換気関係等の建築衛生の研究論文が急増し、気候設計に理論的な裏付けや科学的根拠を与えようとする試みが見られた。大正期から昭和初期は、研究者や建築家の海外留学により気候設計に関する知識が収集された時期でもあった。このような背景の下、昭和戦前期には、気候設計理論の基礎となる研究が展開され、多くの研究論文や文献が発表された。また当時の文化住宅にも、気候設計理論が反映されたものが多く見られた。本研究では、昭和戦前期に発刊された設計計画関連単行本より、以上のような背景の下で展開された気候設計理論を抽出整理し、この時代における建築気候設計の実態を明らかにすることを目的とする。また当時の建築デザイン手法で、現代にも適用できる平面計画を抽出し、デザイン再考のための基礎条件にし、過度にェネルギーに依存した建築計画、設備計画を見直し、自然の恩恵を享受するパッシブ手法の確立に寄与することに意義を有する。