UMLシナリオを活用したインタラクションの欠陥発見手法

摘要

業務システムの要求分析では，顧客が操作しやすくかつ正しく業務を達成できるように，分析者がユーザとシステムのインタラクションを定義することは重要である．我々はこれまで，インタラクションの妥当性を，顧客がわかりやすく確認できるように，インタラクションを定義したUML要求分析モデルから機能を持たないWeb UIプロトタイプを自動生成する方法を提案してきた．しかし，たとえ顧客が入力手順や入出力項目の妥当性をわかりやすく確認できたとしても，システム内の処理のフローを含めたインタラクションの定義に曖昧な表現や矛盾といった欠陥が存在する場合は大きな手戻りが生じ得る．本稿では，要求分析モデルの1つであるシナリオとそこから生成されるシステム内の処理のフローを可視化するプロトタイプを活用し，欠陥を発見するチェックリストを提案する．その有効性は，図書貸出管理システム開発の適用事例を通して，モデルの作成者でなくとも欠陥を発見できたことにより確認できた．