スポンジ状担体を用いた流動床型生物膜処理法による工場排水処理

摘要

BODを高負荷で粗取りすることを目的に，3次元網膜構造を有するスポンジ状担体を用いた流動床型生物膜処理法による各種産業排水におけるBOD高負荷処理の基礎実験を実施した結果，BOD容積負荷と溶解性BOD（S-BOD）除去率の関係を得た。 製紙工場排水を対象に流動床型生物膜処理法の現地実験を実施した結果，COD容積負荷約3kg/m~3．d（BOD容積負荷約3kg/m~3・d）以下の条件では，溶解性COD（S-COD）を約70％，S-BODを約95％除去可能であり，COD容積負荷約4kg/m~3・d（BOD容積負荷約3kg/m~3・d）の条件ではS-CODを平均67％，S-BODを平均94％除去でき，高負荷処理によるCODとBODの高い除去性能が得られた。 また，流動床型生物膜処理水を対象に凝集沈殿処理試験を行なった結果，硫酸バンド添加量200mg/l，凝集pH＝6.0，アニオンポリマー添加量1mg/lの条件で凝集沈殿処理することでCOD成分は約80％除去され，流動床型生物膜処理と凝集沈殿処理を組み合わせることにより，SS性のCODも含めた処理が可能となった。 これらの結果に基づき，製紙工場排水設備としてスポンジ状担体を用いた流動床型生物膜処理設備を納入し，設計S-COD容積負荷2.5kg/m~3．d以下の運転条件で，設計条件であるS-COD除去率60％を達成している。