無線センサーネットワークにおけるAck認証の実装

摘要

大規模なデータを収集し解析することで新しい知識を取り出すことを目的とした，いわゆるビッグデータ解析のためのデータ収集技術として，センサーを持つ小型無線ノードが自律的にネットワークを構成してデータを収集する無線センサーネットワーク（WSN）が注目されている．WSNには無線通信の性質上，第三者がネットワークに介入するセキュリティの問題が存在する．特に悪意を持つノードが経路情報を偽装して通信を誘導し情報を搾取するワームホール攻撃は，ネットワーク構成に不可欠な経路制御動作が利用されるため対応が困難な問題となっている．このような攻撃に対抗して無線通信のセキュリティを確保するためには，確認応答（Ack）の正当性を確認することが重要となるが，WSNに使用される機器の能力や電力消費量の制約が厳しいことから，データそのものの保護に比べて，Ackに対する対策が軽視されることが多い．本研究では，過去に受信したパケットを再送するいわゆるリプレイ攻撃にも耐えるようなAck通信の高信頼化として，Ackの対象となるデータパケットに付加した情報を元にAckを生成するチャレンジ／レスポンス型のAck通信を実現する．実際の無線センサーネットワークでは，低消費電力を実現するためにセンサーノードを周期的に休止状態にし，動作状態の時間を小さくするディーティサイクル動作を行うことが一般的である．本研究では，デューティサイクル動作を行っているWSNが，通信タイミングを合わせるために使用している仕組みを考慮し，繰り返し送られるAckが異なった値になるような実装方法について述べる．