シンガポールのテレビ帯ホワイトスペースを利用したIEEE 802.11af準拠システムによる屋内通信実験

摘要

移動体通信システムのユーザトラヒックは増加の一途をたどっており，今後15年程度で現在の1，000 倍に達すると試算されている．第5世代移動通信システムでは，この需要を満たすために周波数帯の拡大検討が進められており，ミリ波帯やISM帯を含む，あらゆる周波数帯の網羅的な活用が求められている．ホワイトスペースの活用もその一つで，特にテレビ帯ホワイトスペース（TVWS）は周波数範囲が広いことから多くのトラヒックが収容でき，またその電波伝搬特性から長距離通信に応用できると期待されている．このため，世界各国でTVWS活用に向けた制度化や試験運用が推進されており，シンガポールにおいても2014年に法規制が策定され，試験運用が開始された．本研究では，シンガポールの法規制に適合したIEEE 802.11af準拠システムを開発し，それを用いて屋内通信実験を行ったのでその結果について報告する．