凝集剤被覆沪過の有効性に関する基礎的研究

摘要

本論は、PACによる沪層の被覆が沪過初期の濁質流出の抑制に及ぼす効果を実験的に検討したものである。 始めに、沪層のゼータ電位（約－6～－3mV）を高めるために、PH5のPAC溶液で沪層の下向流被覆及び上向流被覆を行った。その結果、沪層のゼータ電位はいずれもAl被覆量にほぼ比例して上昇し、PAC80mg/l溶液で下向流被覆した場合、沪層の入り口付近で最も高い電位＋12．5mVとなった。 その後、カオリン1mg/l（ゼータ電位－25～－35mV）を含む懸濁水の沪過を行ったところ、非常に低濁の沪過水が得られ、沪過0～4時間における濁質流出量は、被覆しない場合に比べて、1／2．5（PAC5mg/l#12539;下向流被覆）～1／13．9（同80mg/l#12539;同）に激減した。 こうした結果から、沪過初期の沪過氷水質を改善する上で、凝集剤による沪層の被覆が極めて有用な技術であることを明らかにしている。