航空交通のオープンデータとその活用

摘要

航空交通量の増大や多様化するニーズに対応するために，我が国では将来の航空交通システムに関する長期ビジョンを2010年に策定し，現在施策の実施を進めている．航空交通分野の研究開発を推進するため，2015年に国土交通省は，実際の航空機の航跡データの提供を開始した．データは学界や産業界において活用され始め，学会などにおいてその成果の公表が始まっている．提供されるデータは，日本上空を飛行した約47万便の航跡データで，時系列で仮想便名，緯度経度，高度，型式が記載されている．本報告では，データ提供の背景を述べ，データの概要を説明する．さらに，航空交通分野の研究におけるデータの活用について概説し，提供された航跡データの活用について分析する．