腎顕微鏡画像中の糸球体の網羅的自動検出

摘要

糸球体検出は腎顕微鏡画像の病理組織評価における重要なステップである．ラットの場合，糸球体は腎顕微鏡画像の切片に数百存在する．しかしながら，糸球体の自動検出は難しいタスクである．それは，糸球体の大きさや形状は腎臓の切片において多様であることに起因する．また，免疫染色の非一様性により輝度も変動する．Rectangular HOG（R-HOG）が一般物体検出において強力な記述子として知られているが，糸球体検出の場合，大きさ，形状の変動により，大量の偽陽性を検出してしまう．本報告では，Segmental HOGという新しい記述子を提案する．従来の記述子はrigidなブロックであったが，提案する記述子は柔軟なブロックを装備している．そのブロックを入力画像に応じて柔軟にフィットさせることで，糸球体に変形への頑健性を獲得している．実画像を使った実験では，提案する記述子は従来の記述子で検出で来ていた真陽性をほとんど漏らすことなく偽陽性を半減することができた．