ステロイド薬の作用機序

摘要

腎皮質ステロイドであるグルココルチコイド(以下ステロイドと略)は,核内受容体ファミリーの中でNR3Clに分類されるリガンド依存性転写因子グルココルチコイド受容体(GR)と結合後作用を発現する. GRはヒトにおいてすべての右核細胞に存在し,現段階ではステロイド作用を発現するうえで必要不可欠の分子と考えられている. 20年前のcDNAクローニング以降GRによる遺伝子発現調節機構の理解は急速に進展し,転写共役因子やヒストン-クロマチンとの相互作用の発見,遺伝子破壊マウスの樹立,X線結晶解析などにより新たな展開をみせている.最近,ステロイドの作用副作用分離に向けた研究も進展している.