技術試験衛星VIII型(ETS-VIII)の打上げ予定に伴い,S帯を用いた移動体衛星通信実験が計画されている.筆者らは移動局に搭載するアンテナとして,方位角3方向にビームを切り換える簡易衛星追尾型パッチアレーアンテナの開発を行っている.本アンテナは各素子への給電を制御回路によって電子的に"ON","OFF"させて衛星追尾を行う簡易な方式を用いているため,移相器やモータを必要とせず,システムの小型化や低価格化が期待できる.本論文では,簡易衛星追尾アンテナに適した給電回路を提案し,本回路を用いたアンテナのビーム切換特性の測定結果について述べる.まず,給電制御回路としてDP3T(Double Pole Three Throw)スイッチの開発を行った.次に,本回路をパッチアレーアンテナに搭載し,ビーム切換特性の測定を行った.その結果,本回路を用いることで,低い電力損でビーム切換が可能であることを確認し,本アンテナによって簡易に衛星追尾が行えることを示した.
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