広帯域周波数利用観測における周波数利用特性を考慮した観測パラメータ設定法の一検討

摘要

本稿では、複数チャネルを同時に観測する広帯域周波数利用観測における観測信号処理パラメータの適切な設定法を提案する．ダイナミックスペクトラムアクセス（Dynamic Spectrum Access：DSA）の要素技術であるスペクトラムセンシングやMAC層制御などの高度化を行うには，周波数利用に関する統計情報を用いることが有効である．DSAに必要となる周波数利用統計情報の収集は，広範囲，広帯域，長期的かつ高精度に実現する周波数利用観測システムが必要となる．本研究では，30MHz～6GHzの広帯域を対象とする周波数利用観測システムの高精度化を目的とする．筆者らは従来研究において，高精度化のアプローチとして，観測帯域ごとの周波数利用の特徴を周波数利用パラメータとしてモデル化し，それに応じて観測信号処理のパラメータを設定する手法の提案を行った．本稿では観測信号処理を，従来研究で用いた硬判定情報を用いるものから軟判定情報を用いるものへ変更し，信号の検出精度の改善を試みる．また，その観測信号処理における観測帯域ごとの観測パラメータを，周波数利用パラメータを事前情報として用いて，信号検出能力および分解能の観点から最適に設定する方法を述べる．そして，計算機シミュレーションによる評価からその観測パラメータ設定法の妥当性を示す．