現在,学生の成績評価方法としてGrade Point Average(GPA)が多くの大学で導入されている(文献[1]).GPAとは,授業科目ごとの成績をレターグレードと呼ばれるS/A/B/C/Dの5段階で評価し,それら各レターグレードに対してGrade Point(GP)と呼ぶ数値4/3/2/1/0を付与し,単位数を掛け,その総和を履修登録した科目の合計単位数で割った数値のことであり,同一学科内での個人の成績位置を示す指標の一つと捉えることができる.現行GPAにはいくつか問題点があるが,その中のひとつとして科目難易度が考慮されていないことが挙げられる.そこで,これまでに我々は科目難易度を考慮したGPA方式(GPA~*と定義する)を提案してきた(文献[3][4]).GPA~*は,現行GPAに科目難易度をポイントとして重みづけし,算出する.さらに,科目難易度に加えて個人成績についても新たに考慮したGPA方式(GPA~*書と定義する)を提案した(文献[5][6]).個人の成績が履修者全体の中でどの位置にいるかを基に,難易度の高い科目で良い点数を取った学生にはポイントを多く与え,難易度の低い科目で悪い点数を取った学生にはポイントを低く与えるなどの重みづけを行う.また,文献2]では試験得点を偏差値に変換するSGPAの提案がされている.本稿では,実データに近い模擬データを用いてGPA,GPA~**,SGPAの分布を求め,比較を行い,学生の順位変動を考察する.GPA~**,SGPAそれぞれの方式の特徴を調べる.
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