家畜排泄物の適正処理技術: 畜舎汚水の適正処理技術と処理コストの低減化

摘要

畜舎汚水の処理は一般には活性汚泥法で行なわれており，この処理コスト低減化のためにはふんを尿から分離した尿汚水が対象である。 ところが，ふん尿のなかの窒素の3/4は尿中に含まれており，70％ふんをボロ出しした尿汚水のBOD/N比は2.2ときわめて窒素比が高く，また，高濃度処理であるため活性汚泥による処理効率が低いうえ，脱窒処理等の高度処理が必要になり，処理経費の面で大きな負担が生じる。 この畜舎汚水の処理は，汚水性状に合わせて回分式活性汚泥法や曝気式酸化池法などが採用されている。畜舎汚水の処理は低コスト化が大前提であり，そのための処理法として最近は一部に，ふん中の難分解性物質を高分子凝集剤によって除去し，汚濁負荷量の減量化を図って曝気処理する前処理法が確立されている。 また，資源循環型処理法として低コストメタン発酵システムの開発が進められており，今後の普及が期待されている。