音情報とニューラルネットワークを用いた高齢者見守りにおける出力値の統計的性質

摘要

少子高齢化の進展とともに，独居高齢者の孤独死が大きな社会問題となっている．従来の高齢者見守りサービスには，高齢者のプライバシーを侵害し，装置を身に付ける煩わしさがある等の欠点があった．著者らは，これを改善することを目的に，音情報を用いることで，プライバシーに配慮した，高齢者に負担の少ない見守りシステムの実現に向け，ニューラルネットワークを用いた高齢者の生活音識別手法を検討している．このような検討を行う際の課題として，十分な学習用および評価用データが得られない場合に精度よくアルゴリズムの評価を行うことが難しい点が上げられる．そこで，本報告では，ニューラルネットワークの出力スコアの統計的性質を用いて，少量のデータでも，評価精度を確保する手法を提案する．具体的には，学習データおよび評価データのニューラルネットワーク出力値の平均値と標準偏差のふるまいを，設計パラメータである中間層次元数および学習回数ごとに求め，過学習とならない範囲で最も認識率が高くなる条件を明らかにするものである．