リビングラボにおける生活者の役割と可能性

摘要

近年、地域活性化や企業でイノベーティブなサービス創出を行うための方法論として、「リビングラボ」が注目を浴びている。リビングラボとは、サービスや製品をデザインするプロセスに、その利用者である生活者を巻き込み、実生活に近い場で、利用·評価しながらデザインを具体化していく方法論である。イノベーションをおこしたい企業にとっては、生活者とともにサービスを創ることで、より長期的に使われる、より売れるサービスを生み出すことにもつながることが期待される。リビングラボは北欧では多くの取組みが実践されており［1］、その共通する目的は、ユーザを長期的に巻き込み、ユーザの文脈の中で、イノベーションをおこそうとしている点にある［2］。その背景には、イノベーションを起こすには、単発のワークショップで生活者の意見を一時的に収集するだけでは十分ではない、という想定がある。つまり、長期的にユーザと関わる中で、新たなインサイトを得て、その解決策をさらに生活者に体験してもらい改良する、というサイクルを回すことが必要なのである［2］。