確率信号モデルに基づく最大尤度方位推定の一意性について

摘要

確率信号モデルに基づく最大尤度方位推定法(SMLと略す)は,高い分解能を有する.しかしながら,シミュレーションよれば,解の収束性に問題があり,大域的な探索を行うと適切な解が得られないことがしばしば発生する.本稿では,この問題は確率信号モデルに基づく最大尤度方位推定法が,本質的に解の一意性がないこと,すなわち評価関数から得られる解が複数存在することに起因していることが分かったので,これを報告する.また,複数の解の中から,方位推定として望ましい解を得るためには,確定的信号モデルによる最大尤度法の解を初期値とし,局所的探索するのが最適であることを述べる.