Contrast Sensitive Potentialsを用いた条件付き確率場による腹部動脈の血管名自動対応付け

摘要

外科的治療においては，重要な血管に傷を付けず，切除する部分に関わる血管への血流を止める必要があるため，血管の分岐構造の把握が大切である．これまでに，腹部動脈血管に対する血管名自動対応付けの研究が行われている．従来手法では，条件付き確率場に基づく構造学習によって血管名の自動対応付けを行うが，このような手法では，条件付き確率場モデルにおけるPairwise Potential係数が定数であるため，木構造として表現された血管領域全体にわたる各枝の情報を充分に利用できなかった．そのため，同じラベルを持つべきである血管枝が途中で他のラベルに対応付けられる場合が存在した．本稿では，隣接する枝と枝の類似度を考慮したContrast Sensitive Potentials を用いた条件付き確率場による血管名自動対応付け手法を検討する．腹部造影CT像50症例を用いて腹部動脈22種類の血管名自動対応付けを行った．腹部動脈はF値92.2の精度で対応付けが可能であった．