Cr-Mo鋼の溶接金属の再熱割れ感受性に及ぼすCおよびBの影響

摘要

再熱割れは低合金鋼や780MPa級高張力鋼などで溶接後熱処理（PWHT）中に発生する溶接部の割れであり，一般に再熱割れ感受性が高いとされる溶接熱影響部（HAZ）の粗粒城での発生が問題となることが多い．再熱割れはPWHTの加熱中または保持中に発生する粒界割れであることから，その発生原因は粒内強度に対する相対的な粒界強度の低下であると考えられる．そのため，再熱割れ感受性を低減するためには粒界脆化をもたらす不純物元素の低減または固定，および粒内強度を上昇させる元素の低減が有効である．ただし，再熱割れの発生は成分による再熱割れ感受性のみならず，溶接部が受ける応力の影響が大きい．そのため，実施工においては，溶接部での過度な応力集中を緩和するために，溶接止端部の手入れによる平滑化や溶接部の拘束度を低減する設計など施工面での対策も行われている．