SOFC燃料極の再酸化に起因する電解質破損条件の評価

摘要

Niジルコニアサーメットは，固体酸化物形燃料電池（SOFC）の燃料極材料として一般的に用いられている．通常は還元雰囲気下で使用されるが，システムの緊急停止等による酸素の侵入で酸化されると，体積膨張により電解質が破損することが知られており実用上での課題となっている．本研究では，燃料極支持型セルにおいて，燃料極の再酸化によって電解質が破損する酸素分圧，温度条件を明らかにするため，燃料極近傍の酸素分圧の同定方法，及び電解質の破損条件の捕捉方法について検討した．その結果，提案する測定系では自立膜型セルで測定したガス供給条件から酸素分圧を決定することで，N_2流量，及びN_2とO_2の混合流量比によって酸素分圧を2.0×10~(-1)～6.6×10~(-6)atmまで制御可能であることが分かった．また，本手法により酸素分圧，温度条件を変化し，1時間保持した際のOCVの変化を調べることによって，燃料極支持型セルにおける電解質の破損条件を捕捉することが可能である．