ランダムテレグラフノイズの統計解析とそのモデリング

摘要

極微細MOSFETでは，ゲート酸化膜の欠陥における単一電荷の捕獲／放出でしきい値電圧が2値変動するランダムテレグラフノイズ（RTN）が顕在化する．本質的に確率現象であるRTNは，統計分布で議論せねばならないから，計測データは無作為に選ばれることが前提となる．このため我々は，任意のドレイン電流波形からRTNを抽出できる，ロバストな隠れマルコフモデルによる手法を考案し，解析に適用した．その結果から見えてきたのは，RTNを引き起こす欠陥は極めて多様であって，従来のモデルは，実験的に観察されるRTNの一部分にすぎないことである．