［からくり事典を紐解けば－「機構学」入門－］第26回 往復両スライダ-クランク機構とその変形版

摘要

前回は、レシプロエンジン（Reciprocating engine）としての応用が有名なスライダークランク機構について、機構を構成する機素の一部を変形させた場合に、どのように機構の動きが変化するのかを説明しました。今回は、4つの機素を2つのスライダと2つのピンジョイントで接続した往復両スライダークランク機構とその変形版について紹介をしようと思います。まず、図表-1をご覧ください。この図は『現代機械技術者の実例機構便覧（上巻）』のp.179に掲載された「887往復動溝穴付きリンクをもつ4節機構」です。最初に、機構の構造に着目してみます。まず、本体4には十字の形をしたリンク1が滑り対偶で接続されています。また、この十字の形のリンクには縦長の溝があり、そこにスライダ2が滑り対偶で接続されています。そして、スライダ2はクランク3と回り対偶で接続され、さらに、このクランクは本体と回り対偶で接続されて、4つの機素が環状につながっています。