本稿では,上りリンクのブロードバンドDS-CDMA無線パケットアクセスにおけるアダプティブアンテナアレー受信において,Capon法とビームフォーマ法を用いたときの2次元電力プロファイルを用いる希望波信号パスの受信タイミングおよび到来方向(DOA: Direction of Arrival)の推定精度の影響について室内実験により比較評価を行った.さらに,受信アンテナビームにおけるメインビームに加えてヌル制御を行う効果を室内実験により評価した.実験結果より,2次元電力プロファイルを用いる希望波信号パスの受信タイミングおよびDOAの推定において,メインビームに加えてヌル制御を行うCapon法のメインビーム情報のみを用いるピームフォーマ法からの平均パケット誤り率(PER: Packet Error Rate)の改善効果は,非常に小さいことを示した.しかしながら,2ユーザ環境(1干渉ユーザ)において,メインビームに加えてヌル制御を行う8ブランチの適応受信ビームを用いることにより,メインビーム制御のみを行う場合に比較して,平均PERが10{sup}(-2)を満たす所要の情報1ビット当たりの平均受信信号電力対背景雑音電力密度比(E{sub}b/N{sub}0: Signal energy per bit-to-background noise power spectrum density ratio)を約1dB程度低減でき,さらにアンテナブランチ数が8より小さいときには,ヌル制御を用いることによる所要平均受信E{sub}b/N{sub}0の低減効果はさらに増大することを示した.
展开▼