マイクロストリップ線路の非対称分岐による電力の不平衡分配の改善

摘要

近年の移動体通信機の高周波化広帯域化に伴い機器内部の伝送路における電磁波の挙動が注目されている．これらの機器に用いられるマイクロストリップ線路は，分岐形状として一般的にT分岐が用いられているが線路配置に制約を受けやすい．これに対し非対称分岐は，その制約が軽減するが，高周波領域において透過電力がアンバランスに分配される問題が生じる．本論文は，非対称分岐で生じる透過電力のアンバランスを定量的に評価し，解決策を検討した．結果，分岐点付近にノッチを設けることが有効であることを見出した．解析では，10GHzで16.2％の透過電力アンバランスが生じた非対称分岐にノッチを切り込むことにより，2.3％まで軽減することをFDTD解析より明らかにし測定により本法の有効性を確認した．