［保全に活かすAI学事はじめ］第8回 機械学習の中身

摘要

最近ではネットなどにAIについての解説が多く、工業系の新聞の見出しにもAIについての文字が見当たらない日はないくらいに、“AI”は馴染みの深い用語となっている。しかし、われわれが仕事で具体的に“AI”に取り組みたいと思うときに最も障害となるのが“AI”の姿である。前回までの記事において“AI”の特徴やできること、“AI”の考え方について解説してきたが、果たして「AI の正体（姿）」とはどのようなものであろうか。PLCのような箱物か、配線がなされた電気基盤か、はたまたダイオードのような素子（チップ）であろうか。正しい解答としては“姿がない”。実はAIとはロジカルに構成されたプログラムである。また、プログラムでしかない。プログラムが見られるのはコンピュータのディスプレイであるが、ディスプレイは言語表現されたプログラム言語の文字列を表示しているに過ぎない。さらに言えば、文字列は人間が判別できるように電気信号を“見える化”したものであり、ONとOFFの繰返しが基本である。つまり“AI”の本当の正体はチカチカした電気信号で目には見えずこ電源を切れば消えてしまうはかない“モノ”である。しかし、ここが最も重要なところである。この電気信号は技術者がつくり出すモノであり、技術的にはプログラミングによって“AI”に命を与え、働きを与え、有用性を与える。今回は機械学習を行う“AI”の姿ともいえるプログラムについて説明する。