SCM光周波数変調RoFリンクにおける光チャープ制御器を用いた非線形補償方式の提案

摘要

SCM光周波数変調方式はFM検波利得が得られ，広帯域な無線周波数信号や非常に多くのチャネルをもったマルチキャリヤ信号を伝送するRoFリンクへの適用効果が高いが，LDの光周波数変調特性及び光周波数弁別特性の非線形性に起因した相互変調ひずみによりダイナミックレンジが制限される．そこで，より高品質に無線信号を伝送するため，RoFリンクにおける非線形補償技術に関する検討が行われている．本論文では送受信機の間に非線形デバイスを挿入して非線形補償を行うことを特徴とした挿入型ディストーション方式を考え，グレーティング素子と光周波数シフタで構成される光チャープ制御器を用いた非線形補償受信機を提案する．提案方式では適応周波数弁別特性制御方式で問題であった高次相互変調ひずみを抑圧することができ，SCM光周波数変調方式のSFDR（spurious free dynamic range）を改善することができる．本論文では，提案方式を適用した場合のSCM光周波数変調方式のSFDRについて理論解析を行い，非線形補償方式を適用しない場合と比べてSFDRを9 dB，適応周波数弁別制御方式を用いた場合に比べて5 dB改善できることを示す．