電離層内を伝搬する短波のフェージングに対する石島方式の検討

摘要

電離層に入射した短波は，層内で反射して再び地表面に戻ってくるという性質から，人工衛星を介しない長距離通信の手段として長らく重用されてきた．しかし，短波が電離層を経由して受信地点に到来するまでの過程で幾つかの要因によりフェージングが生じる事が，短波回線のディジタル通信への応用を妨げてきた．石島らは，送信波を円偏波とする事でフェージング軽減を図る方法を提案したが，電離層における電波の屈折現象の解析が難しい事もあり，この方法によるフェージングの改善理由の解釈には物理的に不完全な点があった．本研究では，多重経路による干渉性フェージングを考え，送信波の偏波面回転が多重経路干渉に大きく影響する事をシミュレーションを通じて示し，短波フェージングとその対策について検討を行う．