大統領選後の米国のエネルギー政策と原子力

摘要

実際の新設炉建設に至るためには，その経済性が十分投資として魅力的でなければならない。 先進的な設計であっても，当初プラントの建設費を合理的に下げることは国難である。 「原子力2010」やエネルギー法案における新設炉優遇措置の実現に加え，将来にわたってプラント建設が継続的になされる市場環境が整うことが，実際に米国で原子力プラントの新設が再開されるための必要条件となると考えられる。 ブッシュ大統領選の再選は，確かに米国原子力産業の将来にとっては明るい出来事といえる。 しかしながら，そのものが原子力を収り巻く政治的環境を効果的に改善するとの確証を与えるものではない。 原子力産業が将来に向けた戦略を描き，それを着実に実行していくためには，引き続き原子力発電のメリットを国民に理解してもらえるよう積極的に働きかける必要がある。 このためには，ブッシュ大統領自身をはじめとする政権の主要閣僚#12539;官僚の明確なコミットメントが目に見える形で継続され，国民に効果的に伝わることが重要であると考えられる。